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迷惑メールはどこから漏れた?アドレスを売った会社を調べる5つの手順
迷惑メールがどこから漏れたのか、つまりメールアドレスを売ったり漏らしたりしたのがどの会社なのかを確実に突き止められるのは、その会社にほかの誰にも教えていないアドレスを渡していた場合だけです。何年も使ってきたメインのアドレスでは、たいてい候補を絞り込むことはできても、犯人を特定することはできません。そのアドレスは何十もの企業の顧客データベースに入っていて、迷惑メールから流出元の1社にたどり着けることはまずないからです。調べられるのは、誰がどのサービスを使ってメールを送ってきているのか、既知の情報漏洩で企業がアドレスを流出させていないか、そしてEUと英国では、企業がアドレスの入手元をどう説明するか、です。iPhone、iPad、Mac向けのCatchNoneなら、会社ごとに別のアドレスを渡す使い方が当たり前になります。どのメールにも届いたエイリアスがバッジで表示されるので、次に漏洩が起きたときは、アドレスそのものが出どころを示します。
手順は次のとおりです。
- 最初に届いた不要なメールと、それが届いた正確なアドレスを見つけます。
- メールヘッダーを読み、送信者と、それが使っているメール配信サービスを特定します。
- Have I Been Pwnedで、そのアドレスを含む情報漏洩がないか確認します。
- 送信者にはアドレスの入手元を、疑わしい会社にはアドレスを渡した相手の会社を尋ねます。
- これからは、会社ごとに専用のアドレスを渡します。
迷惑メールがどこから漏れたか、突き止められるか
場合によります。どんな証拠があるかで決まります。
- メールヘッダーからわかるのは、誰がどのサービスを使って送ったかです(DKIM署名の検証に合格していれば、どのドメインが署名したかは確かです)。リストの出どころはわかりません。
- 情報漏洩の記録は、ある1社がアドレスを流出させたことの証明になりますが、ほかの会社を除外するものではありません。
- 法律に基づく請求をすれば、入手元について会社が知っていることを答えさせられます。ただし、会社が知っている場合に限られます(カリフォルニア州ではカテゴリー単位の回答のみ)。
- 1社にだけ渡したランダムなアドレスなら、出どころを直接指し示します。そのアドレスにほかの誰かからメールが届けば、売られたのか、共有されたのか、盗まれたのかはともかく、その会社から外に出たということです。
迷惑メールが急に増えたのには、ほかの原因も考えられます。迷惑メールが突然増える理由を参照してください。そもそもアドレスが販売、情報漏洩、収集、推測によってどう広まるのかは、迷惑メール業者がメールアドレスを手に入れる方法で解説しています。
ステップ1:最初のメールと、届いたアドレスを見つける
知らない会社からのメールは、その送信者で検索し、いちばん古いものを探します。最初のメールが、アドレスが人の手に渡った時期にもっとも近いからです。そのメールが正確にどのアドレス宛てに送られ、どんな呼びかけで始まっているかを確認します。一度だけ使った古いアドレスや打ち間違えたアドレス、+tagを付けたアドレス、ある登録フォームでだけ間違えて入力した名前の表記、1社しか知らないはずの情報は、どれも出どころの手がかりになります。
EUと英国では、その最初のメールのフッターと、プライバシーに関する案内へのリンクも読んでください。GDPR(第14条)では、本人以外から個人データを取得した会社は、「個人データがどの情報源から生じたか」を本人に伝えなければなりません。そのデータを使って本人に連絡する場合、期限は「遅くとも、最初の連絡の時点」です。最初のメールにその記載がなければ、ステップ4の請求でそのことを指摘します。
ステップ2:メールヘッダーを読む
メールヘッダーは、メッセージの上にある、ふだんは隠れている行です。送信者と、メールを運んだサービスが書かれているので、ステップ4で誰に連絡すればよいかがわかります。
メールヘッダーの見方
各社のヘルプページに載っている手順です(2026年9月時点)。
| アプリ | 手順 |
|---|---|
| ウェブ版Gmail | メールを開きます。「Reply(返信)」の横にある「More(その他)」>「メッセージのソースを表示」をクリックします。 |
| iCloud.comのiCloudメール | メールを選択し、「More(その他)」ボタンを選択してから、「Show All Headers(すべてのヘッダーを表示)」を選択します。 |
| 新しいOutlook for Windows、Outlook on the web、Outlook.com | メールを開き、「More actions(その他の操作)」を選択してから、「View(表示)」>「View message details(メッセージの詳細を表示)」を選択します。 |
| 従来のOutlook for Windows | メールをダブルクリックし、「File(ファイル)」>「Properties(プロパティ)」をクリックします。「Internet headers(インターネット ヘッダー)」欄を読みます。 |
| Macの「メール」 | 「メール」>「設定」と選び、「Viewing(表示)」をクリックします。「Show message headers(メッセージヘッダーを表示)」を「Custom(カスタム)」にし、「Add(追加)」をクリックして、Delivered-To、List-Id、List-Unsubscribe、DKIM-Signature、Return-Pathなど、表示したいヘッダーを1つずつ入力します。「メール」にはそれらだけが表示され、すべてのヘッダーは表示されません。 |
| iPhone・iPadのアプリ | 上記のヘルプページには、いずれも手順が載っていません。コンピューターを使ってください。 |
Gmailの近道:ウェブ版で送信者名の下にある下向き矢印をクリックすると、「Mailed by(送信元)」と「Signed by(署名元)」、つまりメールを送信したドメインと署名したドメインが表示されます。
読み方の例
説明用に一部を省いたヘッダーの例です。アドレスはk7qm-2xrd@example.comで、ある園芸店にだけ渡したランダムなアドレスです。ブランドはdealsdaily.example.netで、mailer.example.orgはそのブランドが使っているメール配信サービスです。
Delivered-To: k7qm-2xrd@example.com
Received: from out-7.mailer.example.org (out-7.mailer.example.org [192.0.2.25])
by mx.example.com; Thu, 24 Sep 2026 09:14:02 +0000
Return-Path: <bounce-7f3a@mailer.example.org>
Authentication-Results: mx.example.com; dkim=pass header.d=mailer.example.org
DKIM-Signature: v=1; a=rsa-sha256; d=mailer.example.org; s=s1; ...
From: Deals Daily <news@dealsdaily.example.net>
To: k7qm-2xrd@example.com
List-Id: Weekly offers <weekly.dealsdaily.example.net>
List-Unsubscribe: <https://unsub.mailer.example.org/u/abc123>
| ヘッダー | わかること | わからないこと |
|---|---|---|
To、Delivered-To |
自分のどのアドレスが使われたか。Delivered-Toは、利用中のメールサービスが追加している場合、Bccで送られていても、実際にどこへ配信されたかを示します(RFC 9228) |
誰がアドレスを渡したか |
From |
送信元だと名乗っているブランド | 確かなことは何も(簡単に偽装できます) |
List-Id |
リスト。「ほとんどの場合」、所有者のドメインを使った名前が付いています(RFC 2919) | リストのアドレスがどこから来たか |
List-Unsubscribe |
配信停止の申し込み先。多くはメール配信サービスです | 誰がリストを所有しているか |
DKIM-Signatureのd= |
送信について「責任を負うと表明している」ドメイン。多くはメール配信サービスです。検証に合格したかどうかはAuthentication-Resultsでわかります |
誰かがアドレスを買ったかどうか |
Return-Path |
バウンスメールの返送先。たいていはメール配信サービスのアドレスです | 誰がアドレスを提供したか |
Received |
経由したサーバー。新しいものが上です | 自分のメールサービスが追加した行より下については、信頼できることは何も(下の行は偽装できます。RFC 5321 7.1節) |
この例では、送信者はDeals Dailyで、mailer.example.orgを通じて送っています。届いたのは園芸店にだけ渡したランダムなアドレスなので、流出元は園芸店です。ただし、Deals Dailyがどうやってそのアドレスを手に入れたかは、ヘッダーからはわかりません。ヘッダーが示すのは送信者であって、売り手ではないからです。見覚えのないドメインの登録情報はICANN Lookupで確認できますが、所有者の情報はほとんどが伏せられています。
ステップ3:情報漏洩で流出していないか確認する
Have I Been Pwned(HIBP)では、あるアドレスがどの情報漏洩やスパムリストに含まれているかがわかります。2026年9月25日時点で、情報漏洩のあった1,038のウェブサイトと、178億件を超える流出アカウントが登録されています(複数の漏洩に含まれるアドレスは、漏洩ごとに1件と数えます)。
- 情報漏洩として載っていれば、データを流出させたサービスと、その時期がわかります。その直後に迷惑メールが始まったなら、有力な手がかりです。
- スパムリストに載っていれば、ターゲットを絞った迷惑メールに使われるデータにアドレスが含まれていたということです。こうしたリストは「複数の情報源から集約されていることが多い」ため、元の会社がわかることはまれです。ペースト(ネット上に貼り出されたデータ)由来の記録や、HIBPが捏造または未検証としている情報漏洩は、手がかりとしてさらに弱くなります。
- センシティブな情報漏洩は、サインインして、そのアドレスでメールを受信できることを確認した後でないと表示されません。
何も見つからなくても、HIBPが取り込んだ情報漏洩にそのアドレスが含まれていないというだけで、誰も売っていないという意味ではありません。無料のNotify Me通知をオンにしておきましょう。お持ちのドメインで会社ごとのアドレスを使っているなら、ドメインの所有を確認した後、Domain Searchで、どのアドレスがどの情報漏洩に含まれているかがわかります(規模の大きいドメインでは、通常は有料プランが必要です)。古い解説記事で勧められているGoogleのダークウェブレポートは、2026年初めに提供を終了しました。
ステップ4:企業に直接問い合わせる
EU・英国:開示請求で入手元と提供先を尋ねる
アクセス権を使えば、2つの会社に、それぞれ次のことを尋ねられます。
- 送信者に、アドレスの入手元を尋ねます。GDPR第15条1項(g)により、「その情報源に関する利用可能なあらゆる情報」を得る権利があります。また、欧州データ保護会議(EDPB)が承認した透明性に関するガイドラインでは、本人以外からデータを取得した会社は、できない場合を除き、具体的な入手元を明示すべきだとしています。
- 疑わしい会社に、アドレスを渡した相手の会社を尋ねます。第15条1項(c)について、EU司法裁判所はÖsterreichische Post事件(C-154/21)で、会社は請求があれば実際の提供先を明示しなければならないと判断しました。ただし、提供先をまだ特定できない場合や、請求が明らかに根拠がないか過剰である場合は除きます。英国のデータ保護当局であるICO(情報コミッショナー事務局)も、UK GDPRのもとで同じ見解を示しています。
どちらの請求でも、売り手の名前を必ず聞き出せるわけではありません。会社は、わからない、あるいはデータは複数の入手元から来たと答えることができます(前文第61項)。ただし、はぐらかすような回答は苦情申し立ての理由になります。連絡には各社のプライバシーポリシーに載っている連絡先を使ってください。あからさまな迷惑メール業者には連絡しないでください。返信すると、そのアドレスが使われていることを相手に教えてしまいます。
コピーして使える請求文の例です(疑わしい会社に送るときは、4番の項目を省きます)。
件名:GDPR第15条に基づく開示請求
GDPR(またはUK GDPR)第15条に基づき、私のメールアドレス
you@example.comについて、以下を教えてください。
- このアドレスをどこから入手したか。具体的な入手元を明示してください(第15条1項(g))。
- このアドレスをどの提供先に開示したか。名称で示してください(第15条1項(c))。
- 私について保有している個人データの内容と、その写し。
- [日付]に私に送られた最初のメッセージで、その入手元が示されなかった理由(第14条2項(f)および第14条3項(b))。
また、ダイレクトマーケティングに対して異議を申し立てます(第21条)。1か月以内に回答してください(第12条3項)。
[氏名]
回答は通常無料です(期限は下の表を参照)。ダイレクトマーケティングに異議を申し立てれば、データをその目的に使うことはできなくなります。
英国で回答がない、または回答をはぐらかされた場合は、まずその会社に苦情を申し立てます。2026年6月19日以降の苦情については、データ(利用・アクセス)法(Data (Use and Access) Act)により、会社は30日以内に受領を通知しなければなりません。そのうえで、会社との最後の実質的なやり取りから3か月以内に、ICOに苦情を申し立てます。EUでは、第77条に基づいてデータ保護機関に苦情を申し立てられます。
米国:カリフォルニア州とオレゴン州
カリフォルニア州のCCPAに基づく「知る権利」の請求では、入手元と第三者のカテゴリー、そして保有されている個人情報が開示されますが、アドレスを売ったのが誰かは明かされません。回答は無料です。事業者に対して、データの販売や共有をやめるよう求めたり、本人から収集したデータの削除を求めたりすることもできます。この法律の対象は、年間売上高が26,625,000ドルを超えるなど、一定の基準を上回る事業者だけです(2026年9月時点)。
オレゴン州に住んでいる場合、同州のプライバシー法の対象となる会社は、請求があれば、データを開示した具体的な第三者の一覧を提出しなければなりません。ただし、請求者本人のデータではなく、何らかの個人データを受け取った第三者を一覧にしてもかまいません(ORS 646A.574)。これらの権利は州法に基づくため、何を請求できるかは住んでいる州によって異なります。
カリフォルニア州の住民は、DROP(Delete Request and Opt-out Platform:削除請求とオプトアウトの窓口)を使って、登録済みのすべてのデータブローカー(名簿業者)に一度で削除を請求することもできます。DROPは2026年1月1日に始まり、2026年8月1日以降、データブローカーは少なくとも45日ごとに請求を処理しなければなりません。対象はデータブローカー、つまり本人と直接の関係がない事業者だけで、アドレスを渡した店は含まれません。
カリフォルニア州、バーモント州、テキサス州、オレゴン州のデータブローカー登録簿は、誰でも検索できます。送信者の会社名と、ステップ2で見つけたドメインで検索してください。一致すれば、送信者は登録済みのデータブローカーであり、カリフォルニア州に住んでいればDROPで削除を請求できる事業者の1つだとわかります。
請求ごとにわかること
| 居住地 | 請求 | 会社が伝えなければならないこと・しなければならないこと | 期限 |
|---|---|---|---|
| EU | GDPRに基づく開示請求 | 入手元について利用可能なあらゆる情報。特定できる場合は提供先の名称 | 1か月(さらに2か月延長可) |
| 英国 | 本人開示請求(SAR) | EUと同じ。ただし合理的かつ相応な範囲で調べたうえで | 1か月(さらに2か月延長可) |
| カリフォルニア州 | CCPAの知る権利 | 入手元と第三者のカテゴリー、およびデータそのもの | 45日(1回に限り45日延長可) |
| オレゴン州 | 消費者の請求(ORS 646A.574) | 個人データを開示した具体的な第三者の一覧(請求者本人のデータか、誰かのデータかは会社が選べます) | 45日(1回に限り45日延長可) |
| 米国全域 | 配信停止(CAN-SPAM法) | メールの送信をやめ、アドレスを販売・譲渡しないこと | 送信停止まで10営業日 |
どの国でも:メール配信サービスに連絡する
DKIM-Signatureのd=、Return-Path、List-Unsubscribeに名前が出てくるメール配信サービスには、独自の規約があります。たとえばMailchimpの利用規定(Acceptable Use Policy)は、「購入したリスト、レンタルしたリスト、第三者のリスト、共同登録(co-reg)のリスト、公開データのリスト、あらゆる種類のパートナーリスト」への送信を禁止しており、不正利用の窓口は「メールヘッダーの全文」を求めています(いずれも2026年9月25日に確認)。そのサービスの不正利用窓口に、ヘッダー全体を送ってください。アドレスを売ったのが誰かは教えてもらえませんが、送信者がそのサービスを使えないようにしてもらえる可能性はあります。
出どころがわかったら
- そのアドレスの使用をやめます。漏らした会社には新しいアドレスを伝えるか、アカウントを解約してから、古いアドレスをオフにするか削除します。ただし、開示請求への回答が届くまでは使える状態にしておいてください。回答や本人確認がそのアドレスに届くことがあるからです。メインのアドレスの場合は、フィルターを使います。
- メールを止めます。第21条に基づく異議を送る(EU・英国)、正規の米国の送信者からは配信停止する、販売と共有をオプトアウトしてDROPを使う(カリフォルニア州)、といった方法があります。以前に配信停止してもうまくいかなかったなら、配信停止してもメールが止まらない理由を読んでください。
- 通報します。米国ではReportFraud.ftc.gov、英国ではICOの迷惑メール通報ツール(個別の返信はありません)、またはメール配信サービスの不正利用窓口に通報し、メールアプリで迷惑メールとして報告します。
- 情報漏洩が原因なら、アカウントの安全も確保します(よくある質問を参照)。
企業はメールアドレスを売るのか、それは合法か
売る会社もあります。FTC(米連邦取引委員会)によれば、「企業にメールアドレスを伝えると、その企業はアドレスを第三者と共有したり、売ったりする可能性があります」。米国では、本人がオプトアウトするまで、連邦法はそれを認めています。英国とEUでは、購入したリストを使って本人にメールを送るには本人の同意が必要です。英国では、リストを売ることにも、一般に本人の同意が必要です。
- 米国:連邦法のCAN-SPAM法のもとでは、会社は同意なしにマーケティングメールを送ることができます。オプトアウトされると、会社は10営業日以内に送信を止めなければならず、アドレスを販売・譲渡することもできなくなります。カリフォルニア州では、これに加えて販売をオプトアウトできます。同州の「販売(sell)」には、「その他の価値ある対価」と引き換えにデータを貸したり利用可能にしたりすることも含まれるため、金銭のやり取りがなくても、提携先とのデータ交換が該当することがあります。「共有(sharing)」は別の用語で、クロスコンテキスト行動広告のためのものを指します。
- 英国:プライバシー・電子通信規則(PECR)のもとでは、購入したリストに載っている人にメールを送れるのは、その人たちがその会社から「その種類のメッセージを受け取ることに具体的に同意した」場合だけです。第三者なら誰でもよいという包括的な同意では足りず、リストを売るにも、一般にリストに載っている人の同意が必要です(ICOのガイダンス。データ(利用・アクセス)法を受けて見直し中)。法人のアドレスには別のルールが適用されます。
- EU:eプライバシー指令は、マーケティングメールを「事前の同意」がある場合にだけ認めています。例外は販売者が自社の顧客に類似の商品を案内する場合で、リストの購入者はこの例外を使えません。
プラス記号の方法が証拠として弱い理由
「Gmailの裏技」とは、you@example.comならyou+shopname@example.comのようにタグを付けたアドレスで登録し、どのタグが迷惑メールに現れるかを見る方法です。Googleの説明自体が、その弱点を示しています。「現在のアドレス、またはプラス記号を使ったそのバリエーションに送信されたメッセージは、すべて現在の受信トレイに届きます」とあるのです。
- 本当のアドレスが丸見えです。タグを消してもメールは届くので、証拠が消えてしまいます。
- 送信者にとって、タグには意味がありません。@より前の部分を解釈するのは受信側のメールサービスだけで(RFC 5321 2.3.11節)、区切り文字もシステムによって異なります(RFC 5233)。
- 見た目ほどの証拠になりません。タグ付きのアドレスに迷惑メールが届けば、その会社から外に出たことはわかりますが、売られたのか、共有されたのか、情報漏洩なのかはわかりません。また、タグ付きのアドレスに迷惑メールが届かなくても、潔白の証明にはなりません。タグが取り除かれただけかもしれないからです。
ある会社にはyour.name、別の会社にはyo.urnameで登録するドットの方法は、さらに弱い証拠です。個人用のアドレスではGmailはドットを無視するので、誰でもドットを取り除けます(職場や学校のアカウントでは、ドットも区別されます)。それでも、プラスアドレス(「+」を使うアドレス)はメールの振り分けには役立ちます。どこで使えるかはプラスアドレスの解説で紹介しています。
ステップ5:次の漏洩では、アドレスが出どころを示すようにする
確実な方法は、これから先に向けたものです。本当のアドレスを含まない専用のアドレスを、会社ごとに渡します。ある店に渡したアドレスにほかの誰かからメールが届けば、どこから漏れたかがわかり、そのアドレスだけをオフにできます。
- CatchNoneは、会社ごとに専用のエイリアスを用意し、どのメールにも届いたエイリアスをバッジで表示します。そのため、ヘッダーを読まなくても、売られたアドレスがわかります。
@catchnone.comのアドレスにはPremiumが必要ですが、お持ちのドメインなら無料プランでも使えます。 - Appleの「メールを非公開」(iCloud+で利用可能)、DuckDuckGo Email Protection、SimpleLogin、addy.io、Firefox Relayなどのメールエイリアスサービスは、メールを受信ボックスに転送します。違いはメールエイリアスサービスの比較で解説しています。
- 独自ドメインでのメールのキャッチオール設定を使えば、そのドメインのどんなアドレス宛てのメールも受け付けるので、登録のたびにアドレスを考え出せます。たとえばCloudflare Email Routing(メールルーティング)は無料プランでも有料プランでも使え(2026年9月時点)、キャッチオールのルールも用意されています。メリットとデメリットはキャッチオールアドレスとはを参照してください。
gardenshop@example.comのような推測しやすいアドレスは、キャッチオール設定のドメインでは迷惑メール業者にも作れてしまいます。ランダムなアドレスを選び、どのアドレスをどこに渡したかを記録しておきましょう。
CatchNone:届いたアドレスがどのメールにも表示される
CatchNoneは、ステップ5のためのアプリです。店、メルマガ(ニュースレター)、アカウントごとに専用のエイリアスを渡すと、アプリのどのメッセージにも、届いたエイリアスがバッジで表示されます。園芸店にだけ渡したアドレスに知らない相手からメールが届けば、ヘッダーを読まなくても、バッジを見ればどこから漏れたかがわかります。「アクティビティ」は、「未使用」にしたエイリアスに届いたメールや、初めての送信者を知らせてくれます。漏れた@catchnone.comのアドレスはオフにでき、以後のメールは送信者に返送されます。ほかのエイリアスはそのまま使えます。
Premiumでは、abcde-12345@catchnone.comのようなランダムな@catchnone.comアドレスを、ドメイン、DNS、メールボックスを用意せずに使えます。Bccで届いたメールでも、どのエイリアス宛てかがわかります。また、利用中のメールサービスがすでに受信ボックスに届けている、お持ちのドメインを使うこともできます。アプリはそのメールボックスを、デバイスから直接、IMAPまたはJMAPで読み取り専用として読み込みます。無料プランではエイリアスを10個まで使え、Lite・Premiumでは、自分のドメインのエイリアスを無制限に作成できます。CatchNoneはiPhone、iPad、Macで利用できます。
CatchNoneが役立つのはこれから先のことで、以前から使っているアドレスについて、さかのぼって出どころを調べることはできません。情報漏洩のデータベースも、漏洩を検知する機能もありません。バッジや「アクティビティ」の表示は、自分で判断するための証拠です。自分のドメインでは、読み込むのは受信ボックスだけで、しかもTo、Cc、Bccに自分のドメインのアドレスが入っているメールだけです。そのため、「迷惑メール」フォルダに振り分けられた迷惑メールは表示されません。自分のドメインのエイリアスを「未使用にする」のは整理用のラベルを付けるだけなので、漏れたアドレスは利用中のメールサービス側でブロックしてください。@catchnone.com宛てのメッセージは届いてから30日後に削除されるので、証拠として必要なメッセージにはフラグを付けて、全文をデバイスに保存してください。
よくある質問
企業にメールアドレスを漏らされたら、どうすればいいですか?
Have I Been Pwnedでアドレスを調べ、どの情報漏洩に含まれていたか、ほかに何が一緒に流出したかを確認します。そのサイトのパスワードと、同じパスワードを使い回していたすべての場所のパスワードを変更し、二段階認証をオンにします。流出した情報を引用したフィッシングメールが届くことを想定し、情報漏洩に触れたメールのリンクは開かないでください。その会社専用のアドレスを渡していたなら、そのアドレスの使用をやめ、会社には新しいアドレスを伝えます。
LinkedInやGoogleはメールアドレスを売っていますか?
どちらも個人情報を販売しているとは述べていませんが、LinkedInはクロスコンテキスト広告のために個人情報を共有していると述べています。LinkedInのカリフォルニア州向けプライバシー開示には「We Do Not Sell Your Personal Information(個人情報は販売しません)」とあり、カリフォルニア州の住民はその共有をオプトアウトできます。Googleのセーフティセンターには「個人情報を誰かに販売することは決してありません」とあり、プライバシーポリシー(2026年5月26日発効)では、Googleの外部と個人情報を共有するのは列挙した場合に限られ、その最初が本人の同意がある場合だとしています。3つのページはいずれも2026年9月25日に確認しました。ほかの会社については、プライバシーポリシーを読み、「販売(sell)」と「共有(share)」を分けて考えてください。
メールアドレスを買うのは誰ですか?
データブローカー、名簿業者(リストブローカー)、マーケティング業者です。登録済みのブローカーは、上で紹介した州の登録簿に載っています。こうした取引は公然と行われることもあります。Österreichische Post事件では、オーストリアの郵便事業者が、個人データを「マーケティング目的で取引先に」提供していると述べ、のちに「メーリングリスト提供業者」を含む提供先を示しました。ただし、この事件で扱われたのは郵便事業者が保有するデータで、メールアドレスではありません。